頑固系OLのおっとりな本棚

頑固な思考から解放してくれるような本との出会いをマイペースに紹介

里山保全による担い手確保にこだわる理由

 先日、公的機関へのインターンに挑む学部生たちの前で、インターン経験者として経験談を話してきた。

 経験談と言っても、私は審査で先生をうまいこと言いくるめて職業体験でないインターンに参加してしまったので、まるで参考にならない話しかできなかった。「お昼ご飯って一斉に食べるんですか?」という低レベルな質問にさえ答えられない始末だった。なんなんだその質問は…

 

 ただ、私が伝えたかったこと、人口減少や財政難という制約が年々大きくなる中で、いかに前例にとらわれない取組みを進めていくことができるのかが公務員には試されているということ、そして公務員試験の勉強ばっかせんとスーパー公務員の本を読めということは言えたので満足。

 なお、低レベルな質問をしてくる彼らにちゃんと伝わってるかどうかは定かでない。だって島根県邑南町の公務員さんの本と、ポートランドの本を紹介した後の質問で「インターンの準備は何をすべきか」と聞かれたもん。(今紹介した本を読まんかい!)

 

  紹介した本はこれ。あとは、山崎さん著のポートランド市のまちづくりの本も。

 

 いい表紙だなあ。邑南町にいったことを思い出す。でも本を買うなり即カバー捨てちゃうタイプなので、残念ながらカバーを後輩らに紹介することはできなかった。

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 また研究の方向性が変わりそうなので考えを記録しておこうと思う。

 

 研究テーマは通常かなり限られた範囲のことを扱うことが多い。研究対象を絞って絞って絞って、でないと研究方法が定まらなかったり、ぼんやりとした内容になってしまうからだ。

 

 ただ、私はこの作業がかなり苦手であり、6月になったというのにまだ研究テーマが十分に絞り込めていない。

 

 その原因は、情報過多だと思う。普段抱いている問題意識や「こうなればいいのに」がたくさんありすぎて、どれかに絞るのがすごく難しくなってしまうのだ。

 

 そういう意味でも、先生の言っていた「事例を探してからテーマを決める」というのは理にかなっている。ただ、これはあくまでも事例を探すのもとんでもなく下手な場合を除いてだ。いい事例がまだちゃんと見つかっていない。

 

 しかし、構想発表会に向けていろいろと準備をしているなかで、明らかに自分の問題意識に無駄な部分が多すぎることに気づいた。というか、気づいていたけどどこが無駄なのか明確にはわかっていなかったという方が正確だ。

 

 私がやりたいことは、非常にシンプルだと思う。(周りから見たら複雑かもしれない)

 少ない担い手でも、地域づくりの担い手を増やすには、地域資源保全活動が有効だということを提案したいのである。

 

 ここでいう地域資源は、いわゆる里地里山二次的自然のことをさしている。

 

 これらは多面的機能を持っていて、都市部の人々にとってもなくてはならない存在である。

 

 地域資源を守ることが担い手確保につながるということは既にこれまでの研究においても指摘されてきたことだとは思うが、あえて今このことを強調する理由は2つある。

 

 1つは、地域づくりの意義を、人々の暮らしを守るということよりも、多面的機能の維持に訴えかけた方が長くかかわってもらえると考えるからだ。

 

 ポートランド州立大学の先生が、「必要性の高いプロジェクトは、担い手不足にならない」と言っていた。

 この意見に全面的に賛成というわけではないが、長期的に地域づくりに携わってくれる人を地域外部から確保するには、単にそこに住んでいる人のために地域を守るといった考え方よりも、都市部の人々も地域を守る必要性を感じられる方が効果的だろう。

 

 特に最近は高齢化が著しいので、せっかく地域づくりの活動をしていても、住民がゼロになったときに活動が止んでしまうという問題に頭を悩ませる地域もある。これは、地域住民のためだけにその事業が行われていた証拠に他ならない。

 

 住民がいなくても続くような持続可能な取り組みにしたければ、地域資源の多面的機能の維持という都市部の人々にも直接関係する目的に拡張する必要があるだろう。

 

 もう一つの理由は、近年の田園回帰の傾向にある。都市部からの移住者は、田舎ではなくド田舎への移住が多いということだ。

 

 つまり、単に農業がしたいだけではなくて、自然と共存した、まさに里山での田舎暮らしを夢に見る人が多いということである。

 また、地域資源を1から再生することのプロセスを楽しむ人も多い。例えば、耕作放棄地をきれいにしてみるとか、野焼きをして草原を復活させるとか…どれも重労働だが、大きな達成感が癖になるらしい。

 

 このようなタイプの人々の田園回帰が多いことから、地域資源保全する活動ができるフィールドを用意してあげることが、関係人口を呼び込む一つの手段として、その有効性が高まりつつあるのではないかと考えた。

 

 新規就農して離農する人が3割くらいいるらしいから、そういう人を捕まえて林業してもらってもいいなぁとか思っているけど、どうなんやろか。

 

 とりあえず事例を探さないと始まらん。